こんばんは。鳳紹院です。
本日は、18きっぷの本領が発揮できる路線。キングオブローカル線とでも呼ぶのがふさわしいでしょうか。山陰本線の旅を紹介したいと思います。
【山陰本線とは】
山陰本線は京都駅から下関の幡生駅を結ぶ長大ローカル線です。かつては、京都から博多まで山陰本線を全区間走りきる、特急まつかぜ号が設定されていましたが、今は全線を走り切る列車はありません。かつて、鉄道作家の宮脇俊三氏が「偉大なるローカル線」と山陰本線を評していたそうですが、確かに的を得ています。
【ルートの概要】
今回は、京都駅から島根県の出雲市駅までのルートを紹介したいと思います。
この区間は、大きく以下のように区分できます。
【各区間を見てみよう】
7回程度の乗り換えが必要になります。特に、福知山以西は非常に運転本数が減る区間がありますので、要注意です。
①京都→園部
②園部→福知山
③福知山→城崎温泉
④城崎温泉→浜坂
⑤浜坂→鳥取
⑥鳥取→米子
⑦米子→出雲
【①京都→園部】
・所要時間:1時間40分~50分
・運転本数:1時間に2本
この区間は、だいたい一時間に3本の列車が走っていますが、うち一本は亀岡止まりです。その為、1時間に1本の園部行きの快速か、普通電車に乗車する必要があります。
(JR京都駅 山陰線ホーム、今ははしだて号は新型車両に変わっています。)
嵯峨嵐山駅などで下車すれば、渡月橋や嵐山にも行けますがそんな旅の序盤から途中下車するわけにはいきません。嵯峨嵐山を過ぎ、トンネルを抜けると列車は亀岡に到着、そのあとは園部に向けて列車は緑の中を駆け抜けていきます
嵐山・渡月橋 先が長いので今回は写真だけにとどめましょう。
【②園部→福知山】
・所要時間:1時間15分程度
・運転本数:1時間に1本
ここから、1時間に1本と本数が減ります。山々の間に田園風景が続くという感じです。
福知山からは京都丹後鉄道が分岐しており、特急はしだて号など、天橋立方面に向かう列車はここで分岐します。近年、天空の城として有名になった、竹田城も沿線にあります。途中、和田山駅では、“但馬の里和牛弁当”という駅弁が販売されており、駅で売り切れている場合は調製元である近所の食堂まで歩いていけば購入できます(歩いて5分ほど。)
“但馬の里和牛弁当”
ご飯の甘辛く煮られた但馬牛が敷き詰められており、非常に美味だったことをよく記憶しております。乗り継ぎなどで時間があれば購入するのもお勧めです。
【③福知山→豊岡→城崎温泉】
・所要時間:1時間半程度
・運転本数:1~2時間に1本
ちょっと前までは、但馬エリアの山陰線のキハ47系はこのカラーでしたが、最近はオレンジ色の昔の国鉄色に変わっています。
ここから、兵庫県の但馬エリアへと入っていきます。更に本数が減少します。城崎温泉終点ではなく、その手前の豊岡で乗り換えとなる列車もありますので、事前にしっかりと確認しておいてください。おおむね1時間に一本程度が運転されていますが、接続が悪く2時間に1本程度となる時間帯も存在します。
豊岡は“こうのとり”と“カバン”の街として有名です。カバンの自販機なんぞというものがあります。
城崎温泉は、コウノトリがここで傷を癒した事により発見されたとの伝説もあるそうで1000年以上の歴史を誇る温泉であり、志賀直哉の『城の崎にて』などにもあるように、文豪とのゆかりも深い地でもあります。駅前の風景から風情がありますが、7つある外湯もめぐることができるようですので、乗り継ぎ時間等でゆっくり途中下車するのであれば一考かもしれませんね。
城崎温泉 7つの外湯巡り
http:// http://www.kinosaki-spa.gr.jp/information/yumeguri/4.html
【④城崎温泉→浜坂】
・所要時間:1時間半程度
・運転本数:1~2時間に1本
この路線のハイライトの1つである“餘部鉄橋をはさむ区間となります”が、本数はさらに減少して、ローカル感がさらに増します。特に、午前中の時間帯は2時間近く列車間隔があく時間があるため、要注意です。
冬場はこの周辺で水揚げされる松葉ガニを目当てに人が押し寄せるようです。線路は集落をかすめるようにして抜けていきます。
餘部橋梁は、10年ほど前にコンクリート橋に掛け替えられましたが、眼下に集落を見渡す非常に高い区間を走るため、列車が宙に投げ出されたような感覚になります。
夕暮れの日本海と
眼下の余部集落
この香住や浜坂といった、城崎温泉~鳥取の間の区間は高速化からも電化からも取り残された区間となるため、昔のままの風景が残っているような区間も多く、味わい深いです。個人的には好きですね。
香住駅周辺
浜坂駅周辺
浜坂駅、めったに見かけなくなった反転式フラップは、まだあるのでしょうか・・。(改札側にあった反転式フラップ表示機はすでに液晶に切り替わっているようです。)
この餘部駅や、かつて青春18きっぷのポスターになった鎧駅はなかなかの絶景ですので、本当であればここで途中下車できるとよいのですが、本数が少ないため中々難しいかもしれません。
【⑤浜坂→鳥取】
・所要時間:1時間程度
・運転本数:1時間に1本程度
浜坂で運転系統が分割されるため、乗り換えることとなりますが
浦富海岸沿いの景色を眺めながら、鳥取駅まで進むことになります。
鳥取駅で販売している、アベ鳥取堂の元祖かに寿司はおすすめです。
甘く味付けしてあるカニの身が、酢飯と絶妙にマッチしており、昆布や奈良漬けが程よいアクセントになっています。こちらも非常におすすめです。
時間があれば鳥取砂丘にもぜひ行ってみたいところですね。バスで20分くらいでしたでしょうか。
【⑥鳥取→米子】
・所要時間:2時間程度
・運転本数:1~2時間に1本程度
快速とっとりライナーに使用されるキハ126系
ここからは高速化工事の恩恵を受けたこともあり、また大阪からの特急が走ることもあり、途中の倉吉まではおおむね1時間に1本程度と運転本数が多くなっています。倉吉駅で運転系統が分断される列車も多数あり、とくに午前中から昼間にかけては運転間隔が空く時間もあるので要注意です。快速とっとりライナー号が走っており、こちらに乗れると10~15分程度早くつくことができます。進行方向右手には、少し遠目に日本海が望めます。昔どこかの携帯会社のCMで出てきた羽合温泉やら、三朝温泉やらと、沿線に温泉地が多いです。そうこうしているうちに米子駅に到着します。
【⑦米子→出雲】
・所要時間:1時間15分~30分程度
・運転本数:1時間に1本程
普通列車ではないですが・・、特急やくも号
ここからは出雲市の一つ先の西出雲駅までは、岡山からの伯備線の特急やくもなども乗り入れることもあり電化区間となります。米子、松江、出雲と比較的人口が多い地域を走るためか、運転本数も増えます。安来駅を過ぎ松江に近づくと進行方向右手に宍道湖が望めます。
城下町松江も見どころは数多くありますので、ぜひ途中下車して観光してみましょう。ちなみに、夕暮れ時の宍道湖はこんなに素敵な景色が望めます。
国宝松江城もあります。
一通り観光し終わったら、お堀端でぼてぼて茶でも飲むのも良いでしょう。
ぼてぼて茶とは、奥出雲のたたら製鉄の職人たちが、高温の中での重労働の合間に片手で口に流し込む労働食だったり、松平不昧の治世に発生した飢饉の際の非常食だったなど諸説あるようですが、番茶が熱いうちに塩を付けた長めの茶筅で「ぼてぼて」と音を立てながら泡立て、ご飯、椎茸、高野豆腐、黒豆、かんぴょうなどの煮物、たくあんなどの漬物などの具を入れて飲むそうです。 (wikipediaより)
そしてようやく、出雲市駅に到着します。
駅舎は出雲大社を模した造りになっています。
ここまで来たのですから、出雲大社にはぜひ参拝しましょう。
時間があれば、出雲大社からバスで20分ほど、日御崎まで向かうのもおすすめです。天気が良ければきれいな夕暮れに出会えますよ。
ではでは、一旦この辺りで。